書籍紹介『デジタル・リーダーシップ』


【データ】

タイトル:「デジタル・リーダーシップ」
著者:ポール・A・アルジェンティ、コートニー・M・バーンズ
監訳:北村秀美
出版社:マグロウヒル・エデュケーション、日本経済新聞出版社
発行年:2010年

http://www.businesswire.com/news/home/20101129005470/ja/

 

【内容】

リーダーシップというよりは、コミュニケーションマネジメントに関する内容です。しいて言えば、社長や部門長などの経営リーダーに対し、新しいデジタルコミュニケーションへの取り組み方を指南する一冊です。

ブログの流行、そしてTwitter、FacebookといったSNSの爆発的な普及を経て、今、企業では、「デジタルコミュニケーション・プラットフォーム」の影響力を無視することは難しくなってきています。これまで社内のコミュニケーション部門が独占的に管理し、一方通行的に情報発信することによってコントロールしてきた自社のレピュテーション(評判)は、従業員、消費者、メディアといったステークホルダーが大きく左右するようになりました。企業による誤ったメッセージの発信は、彼らの容赦ない批判によって、信頼の失墜、そして企業の存続を揺るがすクライシスにまで発展してしまいます。

とはいえ、その特徴や機能をしっかり学び、そして恐れて敬遠するのではなく積極的に活用すれば、企業の発展につなげることができます。その時、ポイントとなるのは、正直であること、大事なことを隠さないこと、率直に向き合うこと、などが挙げられます。また、ぶれない情報発信を行うため、組織のコミュニケーション部門の一貫性、統合性も重要な要素です。

本書では、昨今、サイバー上で起こっている革命的な変化の紹介に始まり、コーポレート・コミュニケーションを担う組織のあり方、マーケティングの手法、従業員を中心としたインターナルコミュニケーションの重要性、デジタルチャネルを活用したCRS活動、そしてデジタル社会におけるクライシスマネジメントの方法に至るまで、幅広くソーシャルメディア時代を生き抜くための戦略が紹介されています。またIBM、ジョンソン・エンド・ジョンソン、フィリップス、デルなど著名な企業の事例も(特に失敗例も)多数収録されています。

経営リーダーに対する指南書のようだと冒頭で申しましたが、幅広い戦略と豊富な事例を備えている本書は、プロジェクト・マネジャーをはじめ、社内外でコミュニケーションに深く携わっている人にとって、一度目を通す価値があるのではないでしょうか。


Thanks! You've already liked this